「SONY NP-F970」互換バッテリーの落とし穴
2024.11.22
ムービーインパクト技術部です。
今回はSONYのNP-F970バッテリー(Lバッテリー)の互換製品について書いていこうと思います。
まず、このバッテリーの大元は、1995年9月発売のDCR-VX1000(DVカメラ第1号機)に初めて採用された「インフォリチウム Lシリーズ」のリチャージャブルバッテリーパックにあります。
当時のSONYハンディカムのバッテリーはL/M/S/Fの4つのタイプがあり、業務用カメラでは「Lシリーズ」のバッテリーが使われていました。
このでシリーズ最も普及した製品の型番が「NP-F970」で、このシリーズのバッテリーは「Lバッテリー」とも呼ばれています。
実はSONY製の「Lバッテリー」は昨年で販売が終了していて、もう現行品ではなくなってしまいました。
テレビ関係やイベント記録系の映像制作会社では、まだ「Lバッテリー」の業務用カメラはまだまだ現役で運用されていますので困っている人も多いはずです。
およそ30年続いて突然終了した「Lバッテリー」ですが、それはSONY純正品の話であり互換品はまだまだ終わる気配はありません。
というのも、「Lバッテリー」は業務用カメラのバッテリーだけではなく、カメラの周辺機器の電源としても広がっていきました。
業界標準とも言えるSONYのビデオカメラで使われていた「Lバッテリー」は大容量で使い勝手が良く、カメラ以外に流用されるのは必然だったように思います。
今でもカメラモニター、ワイヤレス映像伝送装置、LED照明の電源は「Lバッテリー」を使う製品が多く、弊社でもそのような機器を保有しています。
ただ、このような機器を動かすために弊社では「Lバッテリー」の互換製品を購入して電源として使っています。
「Lバッテリー」を電源にする製品は、映像業界で多く使われていた「Lバッテリー」が使えたら便利ということで出来た製品ではあるのですが、弊社では業務用カメラではなく一眼レフをずっと使ってきていてカメラ用の「Lバッテリー」とは縁がありませんでした。
そのため、入手のしやすい互換バッテリーを使っているというわけです。
さて、ここから今回の本題である「SONY NP-F970バッテリー(Lバッテリー)」の互換バッテリーの話に入ります。
互換バッテリーと言ってもピンからキリまであり、安いものは驚くほど安く売られています。
リチウムイオン電池は発火や爆発する危険性があり、一概には言えませんが1個あたり5,000〜6,000円以上のものを購入しておいた方が良いと思います。
粗悪品はリスクがありますので、ある程度ちゃんとしたものを選んでおきましょう。
弊社で使っている互換バッテリーは容量が純正品の1.5倍くらいあるものを使っていて、純正品より長持ちしてくれます。
純正品の容量が45Whで、互換バッテリーは物によりますが60〜70Whくらいあります。
また、専用充電器からだけでなくUSB充電をすることもでき、USB-A出力(5V・2A)機能もありモバイルバッテリーとして使用することができるので非常に便利です。
さらには、今年になってSmallRigから36WのUSB-C出力もできるという高性能なNP-F970互換バッテリーが発売されました。
純正品がなくなっても新製品が出るくらいなのでまだまだ「Lバッテリー」自体は存続していきそうです。
しかしながら、マイナスポイントとして「バッテリーがうまく挿さらない」という問題があります。
おそらくサードパーティ同士なので、それぞれ「挿す部分」と「挿される部分」の大きさがそれぞれSONYの規格を独自に作っているので、うまくハマらない場合があるんです。
上の写真を見てもらいたいのですが、ワイヤレス映像伝送装置「Hollyland Mars 4K」に互換バッテリーを挿すと結構な遊びがあって物によっては1mmくらい空いてしまいます。
以前、現場で突然Hollyland Mars 4Kの映像が途切れてしまったので原因を探っていたら、動かした時に上の写真のような接点の隙間が空いてしまい電力不足に落ち入り電源が落ちてしまったのでした。
わりと致命的な問題ですが、物理的に相性の悪いバッテリーを使わないようにしたり、テーピングすることで運用は可能ではあります。
バッテリーを受ける側の溝も統一された規格があるわけではなさそうで、物によってはカチリとはハマらずヌルッとバッテリーが収まるだけということもあります。
この、ただ収まるだけというのは危険で、ちゃんと装着されているかの判断がつかず、バッテリーが脱落してしまうことがあります。
ですので、カチリとはまらない場合は奥まで強く押し込んでやることが大切です。
それぞれが別メーカーの場合、設計図において小数点以下を切り上げるのか切り下げるのかなどで誤差はどうしても生まれてしまうように思います。
もしかしたら単純に粗悪品という場合もあるようにも思えます。
ですので、「Lバッテリー」互換品はなにかと注意が必要と覚えておいて損はないと思います。
「Lバッテリー」互換製品の性能も上がってきていますし、「Lバッテリー」を使用する周辺機器の性能も良くなってきているのですが、このような物理的な問題が一部では存在しています。
それでも知恵と工夫で乗り越えられると思いますので、試行錯誤して楽しく映像制作をしていきましょう。