EOS R5CでEFマウントレンズを使う際の注意点

2023.06.27

スタッフ

EOS R5Cとレンズアダプタ

ムービーインパクト技術部です。
今回はR5Cを使っていて起こったトラブルについて報告したいと思います。

前にも書きましたが、弊社は今年で創業15年目を迎えた映像制作会社です。
2012年からCanonの一眼レフカメラを使いはじめましたので、EFマウントの交換レンズをそれなりに保有しています。
そのため、Canon EOS 5D Mark II → Mark III → Mark IV → Panasonic AU-EVA1と、EFマウントレンズが使える動画撮影カメラを使用し続けてきました。
2023年3月、新しいカメラを導入するにあたり困ったことがありました。
それは、EFマウントレンズのカメラがないということでした。

調べてみるとCanonはEFマウント搭載カメラの開発はやめてしまったようで、2021年以降〜今に至るまで新製品は発売されていません。
ご存知の通り、弊社ではCanon EOS R5Cの導入を決めました。
これまで使用してきたEFマウントレンズもアダプタを介することで使用できるというポイントが大きかったのです。

コントロールリング マウントアダプター EF-EOS R

R5CはEFマウントではなく、Canonがミラーレスカメラ用に設計した新規格の「RFマウント」を搭載しているミラーレス一眼カメラです。
弊社ではR5Cにレンズアダプタを装着して、EFマウントレンズでの撮影を行なっています。
マウントアダプタの性能は非常に良いのですが、実は問題もあるのです。
軽いレベルから順に3つの問題点をあげていきます。

1つ目は、重量や全長が増す点です。
マウントアダプターは、カメラのマウントに装着してそこにレンズをつけるので、何もない状態より全長が長くなりますし、アダプター分の重量が増えます。
大した変化でもないようにも思えますが、例えばジンバルに載せる際に長くて重いとバランスが取りにくくなりますので、これはマイナスポイントと言っていいでしょう。

2つ目は、マウントアダプタ自体が電気を食う点です。
レンズは全て電子制御なので当然マウントアダプタも電気で動いていて、説明書にもバッテリーの減りが早くなると書かれています。
ただでさえ排熱ファンでバッテリーが減りやすいR5Cに、電力供給の必要があるマウントアダプタをつけるとさらに電池が持たなくなります。
外部バッテリーを用意するなど対策のしようはありますが、省エネであってくれたほうがありがたいです。

3つ目は、アダプタ非対応のレンズが存在する点です。
RFマウントレンズを使用することを前提でに作られているカメラなので、これは仕方がないことではあります。
Canon純正レンズでは起こりにくいようですが、どうしてもサードパーティ製EFマウントレンズだと不具合が起こってしまいます。

弊社の事例だと、タムロンの「85mm F1.8」(Model F016)は全く機能しませんでした。
マウントアダプタを装着したR5Cに「85mm F1.8」をつけたところ、エラー表示が出て使うことができませんでした。
その後、レンズのファームウェアをアップデートしまして、今では何の問題もなくR5Cで使用できています。

ただ、タムロンの「15-30mm F2.8 G2」(Model A041)は、ファームウエアをアップデートしてもR5CではAFが効きませんでした。
問い合わせたところ、R5やR6には対応しているそうなのですが、現時点ではR5Cには対応してくれていません。
RFマウントレンズを使うRFマウント搭載カメラでEFマウントレンズを使いたいという要望にサードパーティ製品が対応してくれなくても、文句は言えないなとは思っています。

それでもタムロンさん! タムロンのレンズを使い続けたいんです!
ムービーインパクト技術部は「Model A041」のR5C対応のファームウェア・アップデート心待ちにしています!

もしかしたら、レンズにファームウェアのアップデートなんてあるの!? と驚かれた方がいるかもしれません。
実はレンズも立派な電子機器で、新しい機能追加や対応機種の幅を広げるため、PCやスマートフォンのようにアップデートが必要なのです。
レンズのファームウェア・アップデート方法は、純正レンズの場合はHPからダウンロードしたデータをカメラに入れ、レンズを取り付けて実行します。
サードパーティ製品の場合は、ファームウェア・アップデート用の機器を購入し、それに接続して行う必要があります。

TAMRON TAP-in Console

タムロンの場合は、上の写真の製品で「TAP-in Console(タップイン・コンソール)」という名称のものが5,000円くらいで売られています。
あるいは、この製品を購入しなくても、タムロンの青森工場に送れば無料でファームウェア・アップデートをしてくれます。
ついでにレンズの点検もしてくれるので、工場にお願いするのも悪くありません。
弊社で前にお願いした時は、レンズの修理(有料メンテナンス)も込みで1週間程度で戻ってきました。

TAP-in ConsoleをUSBケーブルでPCと繋いでいる

使い方についてですが、この機器をレンズのマウントに取り付けて、PCやMacとUSBケーブルで繋ぎます。
専用のアプリ「TAP-in Utility」を使って、ファームウェアのアップデート、手ブレ補正やピント等の調整を行うことができます。
ただし、ここにも注意点があります。
弊社は業務でMacを使用しているのですが、この「TAP-in Utility」はmacOS 12までしか対応しておらず、弊社のMac環境(macOS 13)では動きませんでした。

TAP-in Utility 画面

仕方ないので、私物のWindows PCに「TAP-in Utility」をインストールして、ファームウェアのアップデートを行いました。
結果は上に書いてある通り、「15-30mm F2.8 G2」はファームウェアのアップデートを行なってもR5CではAFが動きませんでした。

事の起こりは、次の撮影で使うDJI RS2(ジンバル)に15-30mmをつけたR5Cを載せてテストしていた時のことでした。
カメラを操作していて、レンズのAFが作動していないことに気がつきました。
ワイドレンズの場合、被写界深度が深いので普段はオートフォーカスを使っておらず、カメラ導入3ヶ月目にしてはじめて気づくという失態でありました。

DJI RS2にフォーカスモーターを搭載したR5Cを載せている

どうしてもAFが効かないので、DJI RS2のオプション品のフォーカスモーターを上面に無理やり組み込んだゴツいセットアップをしてディレクターに提案してみましたが、(予想通り)操作が大変なので却下されました。
今回はAFが効く違うレンズの使用で事なきを得ることができましたが、技術部はタムロンの15-30mmレンズが使いたいです。

撮影が差し迫る中、AFが効かず、ファームウェアのアップデートのために雨の中「TAP-in Console」を買いに行き、Macが使えないからwindowsを探してアプリをインストールし、ようやくアップデートできたと思ったらR5Cには対応していない・・・悲しすぎました。

ムービーインパクト技術部は「Model A041」のR5C対応のファームウェア・アップデート心待ちにしています!

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