Vマウントバッテリーのススメ

2023.08.25

スタッフ

ムービーインパクト技術部です。
今回はVマウントバッテリーについて書いていきます。

まず、Vマウントバッテリーとはなにかというと、テレビ番組の収録現場などで使われるカメラマンが肩に担いで使う大きなビデオカメラをはじめ、照明やモニターなどの電源としてプロの現場で使われている大容量大型バッテリーのことです。
弊社は比較的コンパクトな機材を好んで運用してきたので、プロ仕様の重くて大きいような機材はあまり所有しておらず、Vマウントバッテリーにも縁がありませんでした。

実際Vマウントバッテリーの導入は金額的にもハードルが高く、以前調べた時にはバッテリー本体も高いし充電器も高く、特殊な端子で電源を供給したり、変換に必要なアイテムも多く、これは無理だなと諦めました。

ところが、今年の3月にCanon EOS R5Cを導入した際、電力消費の激しさが問題になりました。標準のバッテリーだけでは運用が難しかったので、外部電源から電力供給できる装置を探っている時にVマウントバッテリーでも手が出しやすいものがあることがわかりました。

その時に導入したのが「MOMAN POWER 99S」という製品です。
価格が比較的安価ということもありましたし、海外製ではありますがパナソニックかサムスン製の信頼できそうなセルを使っているというのが大きかったです。
この製品は名前の99が示すように容量が99Whなので、飛行機の機内へ制限なしで持ち込むことができます。(※100〜160Whのリチウムイオン電池の機内持ち込みは2個までという制限があります。)
飛行機を使った出張撮影もありますので、その点も導入の決め手でした。

以下が「MOMAN POWER 99S」のスペックです。

【MOMAN POWER 99S】
電圧:14.8V
容量:99Wh/6800mAh
BP電極 出力:14.8V – 13A MAX
BP電極 入力:16.8V – 3A MAX
USB-A 出力:5V – 2.6A、9V – 2A、12V – 2A
USB-C 出力 5V – 2.6A、9V – 2A、12V – 2A、20V – 2.3A
D-tap:14.8 V – 13A MAX
サイズ:11 x 7.5 x 5.6 cm
重量:550g

電圧が14.8Vで電流のMAXが13Aとあるので計算上192.4Wまで出力が可能です。ですので、カメラとモニターとトランスミッターに対して同時に電力を供給することも余裕でできます。そうすると個々の機器にバッテリーを取り付ける必要がなくて全体としては重量を軽くすることも可能です。ただし、同時に接続すると消費電力が増えますのでバッテリーの減りは早くなります。
その辺は運用次第であります。

Vマウントバッテリー(MOMAN POWER 99S)の各部について書いていきます。
バッテリーの裏面にV型(逆三角形)をしたパーツがあります。この形がVマウントの由来で、同じくV型をしているVマウントプレートに差し込んでガッチリ固定することができます。接続はバヨネット方式で、プレート側のリリースボタンを押して外します。

赤い部分がBPコネクタと言って、対応している機材に電源を供給するためのメインコネクタです。業務用ビデオカメラ、モニター、照明機材などのコネクタに接続して大容量および長時間の電力を供給します。

右側面にはD-tapの端子があります。赤いフタには「D-TAP OUT」とありますが、出力だけではなく入力(充電)にも対応しています。D-tapの充電器はPSEマーク入りの物でも数千円で購入することができます。

D-tapのケーブルを使うことでさまざまな機器へ電力を供給することができるのですが、注意しなければいけないこともあります。変圧器がないD-tapケーブルを使うとパススルーで(電圧14.8Vのまま)供給されますので、使用機器を痛めてしまう可能性があります。D-tap端子を使用する前には情報を確認をしておいたほうがいいと思います。

上面にはUSB Type-C出力(USB PD)とUSB-A出力(最大24W)の端子があります。
左側のフタに「PD-OUT」と書かれているように、この端子はPower Delivery(USBを使った消費電力の大きい機器へ電力供給が可能な規格)です。最大46Wの電力供給ができますので、弊社ではEOS R5Cの外部電源として使用しています。

左側面にはUSB Type-Cの入力端子があります。ここへケーブルを繋げばUSB充電をすることができます。充電する際の注意点としては、PD(Power Delivery)とあるように通常のUSB-Cケーブルを繋いだだけでは充電がちゃんとできません。特に完全にバッテリーを使い切って0%になってしまった時は、D-tap充電器かPD(46W以上?)充電器で充電する必要があります。通常のUSBでは0%だと全く充電せきませんし、途中からの充電も満充電にならないことがあります。
そして、これは現場で発見したのですが、この「PD-IN」と書かれた端子はPD-OUTも可能でした。どこにも記載はありませんが実は出力も兼ねています。

隣の丸いボタンは残量表示用の液晶ディスプレイのONボタンで、押すと10秒くらい液晶が点灯します。

メインコネクタ(BPコネクター)以外にも、Dタップ、USB-A、USB-C(2口)の出力端子を備えている「MOMAN POWER 99S」は便利な。
Vマウントバッテリーというより、「MOMAN POWER 99S」のススメという内容になってしまいました。
このバッテリー以外にも良いVマウントバッテリーはたくさんあると思いますので、この記事で興味を持ったらぜひ探してみてください。もっと高容量のタイプもありますし、さらに小型もあります。値段もさまざまで、自分にあったバッテリーがあるはずです。
Vマウントバッテリーは「ハードルが高い」となんとなく思っている制作者もいると思います。もしかしたら、調べてみたら導入してもいいかなと思うかもしれません。
弊社ではVマウントバッテリーが、今ではなくてはならない存在になっています。

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