動画広告戦略:大規模キャンペーンの実践ガイド

2024.06.10

神酒 大亮

動画広告大規模キャンペーン成功の秘訣

神酒大亮CEO

こんにちは。動画広告制作会社ムービーインパクト代表取締役の神酒大亮(みきだいすけ)です。

弊社は小さな動画制作会社ですが、いわゆるナショナルクライアントとアライアンスを組ませていただき、動画マーケティング、動画広告制作・動画コンテンツ制作、広告配信、レポートをおこなっています。

新商品、サービスローンチで大規模キャンペーンを成功させるのは大変なことですよね。さまざまな案件をご一緒させていただく中で、この方はできるな〜!と思うことがあります。彼らが実践しているノウハウ進め方、成功に導く方法を見てきました。

結論から言うと、「泥臭く」「小さく始める」ことが成功の秘訣です。

泥臭く働くイメージ

なんだ〜!と思われるかもしれませんが、現代のデジタルマーケティングにおいても泥臭さは変わりません。もう一つの「小さく始める」とは?ここで動画広告が重要な役割を果たします。いきなりテレビCMを有名俳優を使って全国放送するのではなく、動画広告を当てて、結論を見ながら大規模キャンペーンへ繋げていきます。小さく小さく、コツコツ、でもしっかりと大胆に仕掛けるのです。

具体的にどのように進めればいいのか。

本コラムでは、私が見てきた、大規模なブランド認知を獲得するための具体的なテクニックと戦略について紹介します。

 

企画を社内で通すためのテクニック

新しい動画広告企画を社内で承認させるためには、明確なプレゼンテーションとデータに基づく説得力が必要です。企業が大きければ大きいほど通さなければならないセクションが増えます。以下のポイントを押さえて、企画の承認を得る確率を高める必要があります。

決済者の了承を得るには、会議だけでなく、会議前の「根回し」が重要です。なんとも古いと感じられるかもしれませんが、根回しのことを「ピッチ」と言い直しても良いかもしれません。数秒で伝わるピッチです。上司はもちろん、関係各所へ事前告知を行うのが効果的です。この際、ただの思いつきではなく、しっかりした裏付けがあると、説得力が増します。

  • データの活用: 過去のキャンペーンの成功事例や競合他社のデータを提示し、動画広告の効果を具体的に示します。具体的な数値やグラフを用いることで、視覚的にもわかりやすく説明できます。以前は調査会社を使っていましたが、AIで事例をかき集めることも簡単になりました。
  • ROIの見積もり: 予想されるリターンを具体的な数字で示し、投資対効果が高いことを確認しておきます。ROIを見積もる際には、過去のデータや業界のベンチマークを活用します。
  • ビジュアルサンプル: できれば実際の動画のサンプルやモックアップを用意し、完成イメージを具体的に伝えます。ビジュアルサンプルは、コンセプトやストーリーを視覚的に理解しやすくします。生成AIを活用することで、動画を作ることも可能です。(ムービーインパクトで動画を制作することもできます)
  • クロスファンクショナルチームの協力: マーケティング、セールス、クリエイティブチームと連携し、多角的な視点から企画を支援してもらいます。本格始動になる前に、部門間の協力を得られるように根回しをしましょう。より強力な説得力を持たせるために重要です。

 

競合に勝つための具体的な企画

競合他社に差をつけるには、ありきたりな手法では難しいでしょう。インフルエンサー起用など、どこでもおこなっているのが現状です。プラスアルファの企画が必要になります

1. 高度なパーソナライゼーション

パーソナライズド動画広告:

  • 消費者一人ひとりの興味や購買履歴に基づいてパーソナライズされた動画広告を提供します。これにより、視聴者にとって関連性の高い内容を提供し、エンゲージメントを高めます。
  • 動画の中で視聴者の名前を呼びかけたり、過去の購入履歴に基づいて特定の商品を推薦するなど、個別の体験を提供することが効果的です。
例:大和ハウスが行ったパーソナライズ広告は効果を発揮しました「名前の呼びかけで視聴者の8割が動画完全視聴」https://xtrend.nikkei.com/atcl/case/nmg/18/281487/

動的広告配信:

  • 機械学習やAIを活用して、リアルタイムで最適な広告を配信します。ユーザーの行動データを分析し、最適なクリエイティブやメッセージをタイムリーに提供することで、広告の効果を最大化します。

ムービーインパクトでは生成AIに対応しているため、複数の短い動画を大量に作成することが可能です。

  

2. エクスペリエンシャルマーケティング (体験型マーケティング)

ライブイベントとVR/AR体験:

  • 物理的なイベントやバーチャルリアリティ (VR)、拡張現実 (AR) を活用した体験型の広告キャンペーンを展開します。視聴者が実際に製品を試したり、ブランドの世界観を体験できるイベントを開催することで、強い印象を与えます。
  • 例えば、製品の使用感をバーチャルに体験できるVRコンテンツや、ARを活用したインタラクティブな広告を制作します。

ポップアップストアとデモンストレーション:

  • 一時的なポップアップストアを設置し、実際の製品を消費者に体験させます。デモンストレーションや試用を通じて、製品の魅力を直接伝えます。
  • 特に新商品や限定商品を展示し、直接消費者と対話することで、フィードバックを得ることもできます。

 

3. 共同マーケティングとコラボレーション

異業種コラボレーション:

  • 異業種のブランドとコラボレーションし、ユニークなキャンペーンを展開します。異なる業界の強みを活かしたキャンペーンは、話題性と新鮮さを提供します。
  • 例えば、ファッションブランドとコスメブランドのコラボレーションや、スポーツブランドと健康食品ブランドのコラボレーションなどが考えられます。

共同プロモーション:

  • 関連する製品やサービスを提供する他社と共同でプロモーションを行い、相乗効果を狙います。例えば、旅行会社と航空会社が共同でキャンペーンを展開するなどの方法があります。
  • このようなコラボレーションは、消費者に対して包括的な価値提案を行い、競合との差別化を図ることができます。

 

4. データドリブンなインサイトの活用

高度なデータ分析:

  • 消費者の行動データを詳細に分析し、パーソナライズされた体験を提供します。これにより、ターゲットオーディエンスのニーズにより正確に応えられるようになります。
  • 顧客の購買履歴、ウェブサイトの閲覧履歴、ソーシャルメディアでの行動など、多様なデータソースを活用して、インサイトを得ます。

顧客ジャーニーの最適化:

  • 顧客がどのような経路で商品にたどり着くかを分析し、そのジャーニーを最適化します。特に、複数のタッチポイントを持つクロスメディアキャンペーンでは、各ステップでの顧客体験を向上させることが重要です。
  • 例えば、SNS広告からウェブサイトへの誘導、そして最終的な購入に至るまでの一連の流れを最適化することができます。

 

5. エモーショナルコンテンツの強化

ストーリーテリング:

  • 顧客の感情に訴えるストーリーテリングを強化し、ブランドの背景や価値を深く伝えます。感動的なストーリーや社会的なメッセージを組み込むことで、視聴者に強い印象を残します。
  • 例えば、社会的な問題をテーマにしたドキュメンタリースタイルの広告や、感動的な顧客の体験談を基にした広告が効果的です。

エレクトロラックス様の事例です。顧客であるコインランドリーオーナー様に喜んでいたきました。コメント欄も感動で溢れています。ぜひご覧ください

  

ユーザー生成コンテンツの活用:

  • 実際のユーザーが作成したコンテンツを活用し、信頼性を高めます。消費者が自身の体験を共有することで、他の消費者にも共感を呼びます。
  • ソーシャルメディアでのハッシュタグキャンペーンや、ユーザーが投稿した動画を公式アカウントで再共有するなどの方法があります。

 

アメリカの事例に学ぶ

Nikeのパーソナライゼーション戦略

Nikeはパーソナライゼーションを高度に活用している企業の一例です。Nikeは、ユーザーのデータを活用して個別のトレーニングプランや製品推薦を行っています。これにより、ユーザー一人ひとりに合った体験を提供し、高いエンゲージメントを実現しています。

例:Forbesの記事「 How Nike Is Using Analytics To Personalize Their Customer Experience」

https://www.forbes.com/sites/forbestechcouncil/2019/10/07/how-nike-is-using-analytics-to-personalize-their-customer-experience/

 

Red Bullのエクスペリエンシャルマーケティング

Red Bullはエクスペリエンシャルマーケティングの成功例です。Red Bull Stratosプロジェクトでは、極限のスポーツイベントをライブストリーミングし、世界中の視聴者に感動を与えました。このような体験型のキャンペーンは、ブランドのエネルギーと冒険心を強調し、消費者との深い結びつきを生み出しました。

例:レッドブルの記事「 人類の歴史に新たな一歩が刻まれる『Red Bull Stratos』が成功!」

https://www.redbull.com/jp-ja/red-bull-stratos-2017-09-04

 

競合に勝つための大規模ブランドキャンペーンでは、高度なパーソナライゼーション、エクスペリエンシャルマーケティング、共同マーケティング、データドリブンなインサイトの活用、そしてエモーショナルコンテンツの強化が重要です。一つの動画でなんとかできるレベルではなく、さまざまな要素を組み合わせることで、強力なブランドメッセージを消費者に伝え、キャンペーンの成功を確実にすることができます。

 

6. コスト問題の解決は制作会社と直接アライアンスを検討

とはいえ、予算に上限もあるのではないでしょうか。その際、代理店を利用すれば、リスクが減りますが、こちらの理想を伝えると、驚きの見積もりが届くかもしれません。

こりゃダメだと諦めたくなるかもしれません。日本とアメリカはそもそも違うんだ。

しかし、全てを丸投げするのではなく、部分的に動画制作会社とアライアンスを組む方法もあります。コスト削減だけでなく、伝言ゲームを避け、イメージ通りのキャンペンを遂行することができます。

  • 動画制作会社とのアライアンス: 優れた動画制作会社と長期的なパートナーシップを築くことで、コストを抑えつつ高品質な動画広告を制作できます。制作会社は、技術的なノウハウやクリエイティブなアイデアを提供します。
  • コンペの開催: 複数の制作会社を対象にコンペを開催し、最適なパートナーを見つけることができます。コンペを通じて、多様なクリエイティブアイデアを得ることも可能です。
  • パートナーシップの利点: アライアンスを組むことで、制作会社との連携がスムーズになり、迅速な対応や柔軟な制作が可能になります。

 

7. インパクトのあるクリエイティブの作成

視聴者の注意を引き、記憶に残るクリエイティブを作成するためには、以下のポイントを押さえましょう。

  • 初めの5秒が勝負: 動画の冒頭で強い印象を与えるために、キャッチーなビジュアルやメッセージを盛り込みます。視聴者の興味を引きつけるためには、強烈なビジュアルやサウンドを活用したくなりますが、実は「うるさい」とスキップされてしまいますので、ほどよいインパクトにコントロールする必要があります。どちらかというと、視聴者の心に引っかかる「違和感」「疑問」をうまく見せることが重要です。
  • ブランドストーリーの一貫性: ブランドのストーリーやメッセージを一貫させ、視聴者に信頼感を与えます。ブランドのコアバリューやミッションを明確に伝えることが重要です。つい、目先の成功に目が奪われがちですが、ブランドを毀損しないように細心の注意を払います。
  • 高品質なビジュアルと音声: 高品質な映像と音声を使用し、視聴者にプロフェッショナルな印象を与えます。技術的なクオリティも視聴者の評価に大きく影響します。

8. クロスメディア戦略の導入

大規模ブランドキャンペーンでは、複数のメディアを組み合わせたクロスメディア戦略が有効です。以下のメディアを効果的に活用しましょう。

  • テレビ (TV): 大規模な認知度向上とブランドストーリーテリングに適しています。広範囲にリーチし、強い印象を与えることができます。ただし、テレビでの展開は最後に持ってくることをお勧めします。まずはwebで小さく始め、反応を見ながら最大化を図ります。良い反応があったものにさらに注力し、テレビで放送します。
  • デジタル広告: 詳細なターゲティングとデータドリブンな最適化が可能です。検索広告やディスプレイ広告、動画広告などを活用して、効果的なリーチを実現します。ABテストを行い、データを採取しましょう。
  • ソーシャルメディア: 消費者とのエンゲージメントを促進し、ユーザー生成コンテンツを活用します。Facebook、Instagram、Twitter、LinkedInなどのプラットフォームで、ターゲットオーディエンスにリーチします。皆が参加したり、コメントしやすい企画を考えます。
  • オンライン動画プラットフォーム: ダンスチャレン企画など視覚的かつ音声的なインパクトを与えるために、YouTubeやTikTokなどを活用します。特に若年層へのアプローチに効果的です。
  • オフラインメディア: プリントメディアやアウトドア広告を活用し、消費者のライフスタイルに合わせた多様な接触ポイントを持ちます。特定の地域やイベントでのプロモーションに適しています。
  • オウンドメディア: 自社のウェブサイトやブログ、メールマガジンを通じて、一貫したブランドメッセージを発信します。自社のプラットフォームを活用して、ブランドの信頼性を高めます。最近では、YouTubeチャンネル運営も含まれます。更新率が大事になりますので、時間的、金銭的なコストとぱフォーマンスのバランス考えて運営します。

東京電力エナジーパートナー様の例では、FacebookとYouTubeで展開しました。17万フォロワーを超えています。その結果、TEPCO社員である家電王こと中村さんの影響力が増加し、テレビや雑誌、新聞で頻繁にご出演されるようになりました。(もちろんご本人の努力が一番効いています)

アメリカの事例

Dollar Shave Club

動画広告の成功例として、Dollar Shave Clubが挙げられます。彼らは独自のユーモアとストーリーテリングを駆使した動画広告で一躍有名になりました。この広告は低予算で制作されましたが、ソーシャルメディアで瞬く間に拡散し、ブランドの認知度を飛躍的に高めました。動画広告の成功により、Dollar Shave Clubは短期間で大規模な顧客基盤を築くことができました。

GoPro

クロスメディア戦略の成功例としては、GoProが有名です。GoProは自社のウェブサイト、ソーシャルメディア、YouTubeチャンネルを活用し、ユーザー生成コンテンツを効果的に活用しています。ユーザーが撮影した映像を共有し、それを公式アカウントで再発信することで、ブランドの認知度と信頼性を高めています。特に、YouTubeでの動画コンテンツは高い視聴数を誇り、ブランドの象徴ともなっています。

9. パフォーマンスの評価と最適化

クロスメディア戦略の効果を最大化するためには、継続的なパフォーマンスの評価と最適化が必要です。

KPIの設定

  • KPIの設定: キャンペーンの成功を測定するための重要な指標 (KPI) を設定し、パフォーマンスを継続的に評価します。例えば、視聴数、エンゲージメント率、コンバージョン率などを設定します。
  • リアルタイムデータの分析: キャンペーンの進行中にリアルタイムでデータを分析し、必要に応じて戦略を調整します。これにより、タイムリーな対応が可能になります。
  • カスタマージャーニーの分析: 消費者の行動データを分析し、どのチャネルやタッチポイントが最も効果的であるかを特定します。これに基づいて、効果的なマーケティング施策を実施します。
  • パフォーマンスの評価と改善: 定期的にパフォーマンスを評価し、改善点を特定します。A/Bテストやマルチバリアントテストを活用して、最適なクリエイティブやターゲティングを見つけます。

統合マーケティングコミュニケーション (IMC)

統合マーケティングコミュニケーション (IMC) は、すべてのマーケティング活動を連携させ、一貫したメッセージを消費者に伝える手法です。これにより、ブランドのメッセージがより強力に伝わり、消費者の認知度が高まります。

  • 統合されたマーケティングプラン: 広告、PR、セールスプロモーション、ダイレクトマーケティングなど、すべてのマーケティング活動を統合し、一貫したブランドメッセージを提供します。
  • クロスチャネルキャンペーン: 各チャネルの特性を活かし、連携したキャンペーンを展開します。例えば、テレビ広告で興味を引き、デジタル広告で具体的な行動を促すなどの戦略を実施します。
  • 消費者体験の統一: オンラインとオフラインの接触ポイントを統一し、消費者がどのチャネルを利用しても一貫したブランド体験を得られるようにします。

大規模なブランドキャンペーンを成功させるためには、明確な目標設定、ターゲットオーディエンスの理解、インパクトのあるクリエイティブ、クロスメディア戦略、データドリブンなアプローチ、そしてエンゲージメントの促進が鍵となります。これらの要素をバランスよく組み合わせることで、強力なブランドメッセージを消費者に伝え、キャンペーンの成功を確実にすることができます。

まとめ

コツコツデータ集めから始まり、ピッチの段階から動画を導入し、初手の動画広告によるABテスト、各段階で動画が役に立ちます。動画無くしてキャンペーンは成立しません。柔軟な体制が取れる動画制作会社を見つけて、ぜひアライアンスを結びましょう。

具体的なご相談やお問い合わせは、ぜひお気軽にご連絡ください。経験豊富なチームが、効果的な動画広告戦略をサポートし、貴社の目標達成をお手伝いいたします。

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