買取できる芸能事務所って何?池野さんに聞いてみた | ムービーインパクト スタッフインタビュー
2019.04.12
ライター:梶川美輪子
【Web動画専門の芸能事務所を創立!?】
制作会社が芸能事務所を作った、ということですよね。きっかけは何だったんですか?
池野:ウェブCMを作っていると、役者さんの肖像権で悩むことが結構ありまして…。
この問題をクリアできたら、ウェブCMをもっとたくさん観てもらえるのに、と思っていました。それで、ウェブ上で肖像権を解放してくれる役者さんを集めキャスティングしたのがきっかけです。
今では、ウェブ広告専門の俳優プロダクションとして、ムービーインパクト以外の現場にもキャストを派遣しています。
肖像権でどういった問題が起こるのでしょうか?
池野:CM出演者には肖像権があり、制作する際には芸能事務所と契約を結びます。例えば、テレビだと1クール、ウェブCMでも半年や一年など、あらかじめCMの使用期限を設ける場合がほとんどです。
でも、特にウェブCMは時間をかけて波及することも多く、効果を実感する頃に配信終了、なんてことが度々起こります。数百万回観られているのに、契約切れで消したこともありました。契約を延長するにしても、事務所に支払う追加費用が発生してしまいます。
最初から権利問題をクリアしたキャストで制作すれば、無期限でウェブCMを使い続けることができるんです。
池野さんは俳優でもありますよね。俳優の立場で、このサービスをどう思いますか。
池野:私がムービーインパクトとつながったのは、俳優として動画CMに応募した2012年頃なんですけど、それ以前は、自分が出ているウェブ動画がしばらくたつと消えてしまっていた、なんてことがよくありました。
自分の出演作に限らず、良い作品、多くの人に観てもらっている動画がなくなってしまうのは残念だし、もったいない。
クライアントさんは、なおさらそう思われますよね。
【破壊力あるけど、皆に喜ばれる仕事】
自由に使い続けられる動画は、クライアントにとって魅力ですよね。
池野:そうですね、大変喜んでいただいています。
業界的にもかなり破壊力があるサービスなので、他の制作会社や広告代理店の方からも問い合わせをいただくんですよ。今、どんどんご依頼が増えていまして…毎日駆け回っています。現場にいると、このサービスはクライアント、制作会社、役者、みなさんに喜んでいただけていると感じますね。
風穴を開けましたね。
池野:同じように悩まれて、調べた結果、うちに行き着いたのではないでしょうか。業界共通の課題なので、他社さんにもキャストを紹介することで、解決につながればという思いでやっています。
肖像権フリーを打ち出すことは、一方でデメリットになるようなことはありませんか?
池野:演技力がないイメージを持たれやすいのか…「エキストラしか経験ないんじゃないか」と心配されることはあります。でも、実際はかなりの場数を踏んでいるので、お芝居を見た後は、高く評価してくださって、再指名いただくことも非常に多いです。
キャストたちは、芝居のクオリティー、俳優としての意識も高いと思います。CM以外でも演技力を磨いていて、例えば、ムービーインパクト制作の「くらしのラボ」というFacebookコンテンツの動画に出演している手島実優や坂口彩は、それぞれ映画や舞台で主演するなど多方面で活躍しています。
それと、ウェブCMでは幅広くキャスト需要がありますので、子どもからシニア層まで所属しています。HPやYouTubeに出演CMがたくさん上がっているので、それぞれの役者の演技や雰囲気を見ていただけたらと思います。
【これから売れる役者に必要なものは動画資料】
ウェブCMが、そのまま役者の宣材資料としても活きてくるということですね。お客様の不安要素も解消できそうです。
池野:写真や文字の資料も大切ですが、演技については実際の仕事を観ていただくのが一番伝わると思います。ウェブCMは納期や予算の関係でオーディションをしない場合も多いので、そういった場合の映像資料として活用できますし、スピードを求められる仕事ですぐにURLをお送りできるのもメリットですね。
ウェブなら海外にもアプローチしやすいですよね。池野さんは英語が堪能と聞きましたし、グローバルな展開も期待してしまいます。
池野:実際、中国や韓国からキャスティングのご相談をいただき、日本で撮影をするなど、動き始めています。これからは、アジア、世界に向けて、役者さんの活躍の場、キャスティング需要を広げていきたいと思っています。
とてもお忙しいようですが、俳優、活野創の活動も楽しみにしています!
池野:キャスティング事業が急成長しているので…今日もこれから現場5件、回ってきます。役者業はセーブしていますが、ご指名もいただきますし、これからも頑張っていきたいです!
池野創(いけの そう)俳優部/プレイヤーズエージェント
キャスティング、プロダクション事業担当。
1982年生まれ、新潟県出身。
特技はテニス(全国大会出場)、アクション、乗馬、英会話。
活野創名義で俳優としても活躍。ぴあフィルムフェスティバルグランプリ受賞作品「夜とケイゴカー」主演。ムービーインパクト制作のウェブCMに多数出演。俳優歴15年の経験を活かしたキャスティングや、他には真似できない円滑な現場さばきに定評がある。