広告用動画やWEBCMの納品形式、それで本当に大丈夫ですか?

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市原 悠


2020.06.26

弊社のような動画広告の制作会社、広告代理店などを経由して、動画広告やWEBCMを制作してプロモーションに活用している企業の方は多いと思います。

そこでよくご相談を受けるのは「最終出来上がった動画の納品データ、どんな形がいいですか?」というものです。
これ実は、専門でないと中々難しい問題だったりするので、今回は超簡単に解説いたします!

まず、前提として映像の広告といえば、イコールTVCMだった頃は、TV局に出さないといけないので、必然的にテープでした。しかもテープはほとんどが同じ規格のものです。なので言わずもがな、テープのマスターデータも企業側に納品されていたのです。

ところがWEBで動画が当たり前になった今は、出稿する媒体によっても動画の圧縮形式やデータのままでいいのかとか、テープやDVD、ブルーレイにしないといけないなど、分散しました。
それがクライアント側の混乱を生んでいるのかなと思います。

では、結論どうすればいいのでしょうか。

■出稿メディアへのデータ

まず第一には出稿するメディア・媒体用の納品データは必要ですね。これは当然です。
出稿のデータ形式は、メディア、媒体に問い合わせれば必ずわかります。なので、出稿するメディア側に「動画と音声の出稿形式や、フォーマットをください」といってそれをもらいましょう。
もらったものを(仮に理解できていなくても)動画広告を作っている代理店や、制作会社側に送って「こちらで納品をお願いします」と伝えればスムーズです。
全くもって不安な場合は、代理店や制作会社に聞いてもらうのも手です。しかしここは制作側からすると撮影時から関係あることなので、最初に確認しましょう。必ず。

■自社保管用データ

次に自社に保管しておくマスターデータについてです。(マスターデータとは一番大切な最後の納品データのこと)
なんならココからが大切です!!

さて、媒体に納品したデータは、おそらく、それ用の形式に合わせて圧縮や変換したデータのはずです。
ちょっと小難しい話をするので、わからなくても大丈夫ですが、たとえば撮影したデータは4Kでキレイに撮っておいて、編集で動画をフルハイビジョンにサイズを小さくして、更に出稿媒体用にあわせて小さくしていることがよくあります。これは主に出稿先の納品フォーマットに、データ量と画面サイズの制限があって(データが重いと再生ができなかったりするため)起こることです。

このようなことが起こっている場合、当然最終納品で使ったデータはサイズが小さくて圧縮されたものになります。
ようは、最初撮ったときの綺麗さがかなり失われた荒いデータ、というわけです。

なので、これを自社保管のマスターにしてしまうと、手元に荒い動画データしかない状態になってしまいます。
これはよくあることなんですが、後日、別の媒体やイベントなどで使おうと思ったときに、その保管しているデータよりキレイな、大きなデータを下さい、と言われたときに使えないわけです。使えたとしても小さいものを無理に引き伸ばすから、汚い映像になったりするわけです!

これってもったいないですよね。

なので、もし自社保管用のデータを貰うときはなるべく大きなデータでもらいましょう。
「媒体用に圧縮する前のマスター的なデータを一緒に下さい」という言い方になります(別途動画変換費が必要となる場合もあります)

■マスターデータにもレベル感がある

で、ちょっと詳しく話しておくと、動画データのマスター具合にも段階があって、例えば撮影は4Kで撮っているけど、フルハイビジョンでほぼすべての製作工程を行うこともあり、その場合は4Kではもらえません。
事前に最終的に4Kマスターがほしいなどと相談しておく必要があります。特にCGやグラフィックが多い映像で後からそのような要求はむずかしいでしょう。

更に同じフルハイビジョンのマスターデータと言っても、全然圧縮していないProres(プロレズorプロレゾと読む)や、マスターだけどどんなPCでも再生できるレベルにしたH.264(エイチドットニーロクヨン)というフォーマットで圧縮したMOVやmp4もあります。

これをどちらにするか決めるのも大切です。

前者のProresの方はデータ量も膨大で、本当になるべく最高の状態で保管したいという場合に有効です。動画の長さによっては、数GB以上になり、スペックの低いPCでは再生すらできない場合もあるので、注意が必要です。
私も再生できませんと言われることがままあり、このように説明しています。

後者の圧縮したMOVやmp4は、かなり見た目の綺麗さを維持したままの圧縮データです。普段軽く持ち出して講演会などで見せたり、ウェブ媒体で再使用するならほとんどこれで事足ります。

どちらかにする、あるいはどっちももらうでもココは問題ありません。
弊社の場合、大抵は後者のmp4が多いです。
やはり前者はキレイだけど、単純に一般的には扱いづらいデータという感触ですね。
しかしテレビCMにする可能性があるなら、必ずProresなどでもらいましょう!テレビCMはなるべく大きなデータが望ましいです。

なお、私は美しさが大切なものや、ブランディング映像などは、クリエイターとしてこだわり、最も美しく残したいので、勝手に大きなデータも作っておき、お渡ししたりします笑


■どうやってデータを貰う?

さて、データのもらい方です。
今動画広告業界では、ほとんどデータ納品が主流です。
そもそもWEBで使うことがほとんどなのでテープやDVDなどにする必要がありません。

データ納品の場合はクライアント側のセキュアなサーバーに制作側からアップしてもらうか、オンラインでデータのやり取りができる動画サイトを経由してもらいましょう。例えばファイヤストレージや宅ふぁいる便、ギガファイルなどです。しかしその場合はセキュアな部分が怪しかったりもするので、慎重に選びましょう。
データが重すぎたり、相手方で受け取れる通信速度ではない場合は、郵送でデータの入ったSDカードやハードディスクといったメディア自体を渡すこともあります。

しかし一部クライアントや市町村などではDVDやブルーレイといった現物納品の必要があるところもあります。
DVDの場合、DVD自体をデータの入れ物として使う、ようはDVDプレーヤーで再生はできないが、PCに入れれば中に動画のデータがあり、それをすぐ取り出せるような状態であれば、おおよそ4.7GB以内であれば問題ありません(二層式のDVDならその倍までOK)。ブルーレイなら容量が更に増えてOKです。

■本当にヤバいDVD問題


実はここで私が、大問題だとおもっている事があって、それはいわゆる映画のDVDのように、DVDデッキで映像再生できるようにした状態のDVDが、最終納品の場合です。

実はDVDというのは、きれいに見えて、その規格上ハイビジョン再生はできません。昔の横長になる前のテレビと同じ解像度しか持てないんです。
なのでどれだけハイビジョンや4Kで撮っても最後にDVDにすると劣化しまくります…。
しかも、これはDVDでもブルーレイでも同じですが、再生用にすると、中で特殊な動画の形式になります。
むかし違法DVDコピーなどが話題になったように、本来コピー出来ないような状態になっており、もちろん無理にそのデータを動画データに戻すことはできるのですが、抽出の際に劣化したり、きちんと抽出できない場合があります。

したがってそのような形式で納品されたDVDの映像から、ある日なにかに使いたいから、もう一度映像を抜き出して使おうとしようものなら、映像はかなり残念な質感になってしまうんです。

もちろん会社や自治体の規定があるかとは思いますが、その場合は一緒にMOVやmp4といったデータも必ずもらっておきましょう。

■データの保管は?

もらったデータが社内のどこに行ったかわからない、ということもよく耳にします。
とてもシンプルに言うと、データはコピーできますので、クラウドと、部署と、担当者のHDDなど、複数の箇所においておきましょう。
セキュリティ的に難しい場合は、一箇所でも構いませんが、動画広告案件のフォルダなどを作って各部署に場所を共有しましょう。

ちなみにハードディスクもSSDもDVDもブルーレイも、寿命があります。決して永久保存はできません。目安は5年です。
もしこのような外部ストレージに置く場合は、必ず別のバックアップを取っておきましょう。そして同じ場所に置かないようにします(災害・人災などで一気に失われる可能性がある)。
直射日光や温度変化の激しい保管場所も避けてください。
DVDなどは、普段殆ど見ないにしても毎年再生できるかチェックしましょう。

少し長くなりましたが、以上となります。
きちんと納品を終え、今後も資産として使えるように、大切に扱っていきましょう!


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