撮影現場の質があがった!ワイヤレスで映像を飛ばす『Hollyland MARS 400S PRO』の実力

2021.07.30

スタッフ

ムービーインパクト技術部です。

ワイヤレス映像伝送システム『Hollyland MARS 400S PRO』を導入しました。
通常、カメラとモニターを繋ぐにはケーブルが必要なのですが、この機材を使えば無線で映像と音声を飛ばすことができます。
今回はその機能や使い方について書いていこうと思います。

まずはスペックから。

最大伝送距離:121.92m
給電方法:バッテリー/ACアダプター/USB-C
伝送遅延:0.08秒
同時最大接続数:受信機2台/受信機1台+アプリモニタリング2台/アプリモニタリング4台
映像入力:HDMI/SDI
映像出力:HDMI+SDI(※同時出力可)

こんな無機質な情報を出されても、正直なんのこっちゃという感じだと思いますが、すごい性能だということがわかる人にはわかるはずです。
そして、意味があるか不明ですが、感覚的な情報に書き換えてみます。
これなら少しは理解できるのではないでしょうか。

映像が届く距離:電車6両分
電源:電池か、コンセントか、モバイルバッテリー
映像のズレ:言われなければ気付かない
同時に受信できる数:受信機2台か、受信機1台+スマホ2台か、スマホ4台
カメラと装置の繋ぎ方:家庭でも使われてるHDMIケーブルか、業務用SDIケーブル
装置とモニターの繋ぎ方:HDMIとSDIどっちでもいけるし同時でもOK

なんとなく性能の良さが伝わりましたでしょうか。
ほとんどズレもなく長距離に映像を飛ばせて、電源も選べて、映像の出入力も自由度が高くて非常に便利です。
(家電の説明書も、担当者の独断と偏見で感覚的に書いたバージョンも公開してほしいと個人的には思っています。)

次に簡単に使い方を説明します。
この機材は、カメラに接続し映像を送る側(赤色)と、受けてモニターに映像を出す側(青色)の2個セットで使います。
実際に繋いでみましょう。

バッテリー給電の場合、背面に搭載されているNP-Fシリーズ対応のバッテリースロットにバッテリーを繋ぎます。
写真の大型バッテリー(NP-F970互換)を使えば、交換なしに1日の撮影を終えることができています。
ただ、重くて邪魔で接続部にも負担がかかるので、小型バッテリーにして定期的に交換する方が良さそうです。

ACアダプター給電の場合、付属品のアダプターを使うか、出力DC6〜16Vでプラグ外径5.5mm(内径2.1mm)のアダプターを背面のDC入力に挿します。

USB給電の場合、2A以上の出力があるアダプターかモバイルバッテリーにUSB-Cケーブルを繋いで使います。
送信機と受信機の消費電力はそれぞれ7Wと11Wなので、1A出力だと電力が足りず動かない可能性があるので注意が必要です。

EVA-1とトランスミッター

電源が取れたら、送信機(赤色)とカメラをHDMIかSDIで繋ぎます。
同様に受信機とモニターもHDMIかSDIで繋ぎます。
この時、送信機側の入力信号に関わらず、受信機はHDMIでもSDIでも出力が可能です。
最初は知らずに、HDMIで繋いだらHDMIで出さなくちゃいけないと思っていたのですが、入力信号は自動的にフォーマット変換されて出力されるクロスコンバート機能がついていました。

また、受信機はHDMIとSDIの同時出力が可能で、2台のモニターが繋げます。
実際に現場では、クライアント確認用のモニターと照明スタッフに見てもらうためのモニター等、2台使用することもよくあります。

カメラと確認モニターのケーブルは本当にわずらわしくて大変で、無線接続ができるようになって作業の効率化が上がりました。
それだけでなく、有線でモニターと繋いでいた時は、カメラ側の映像出力端子が度重なるケーブルの抜き差しでダメになったことがあって、修理代も結構しました。

更に便利なのは、「HollyView」アプリを使えば、スマートフォンやタブレットで映像を受信できることです。
Wi-Fiをオンにしてデバイスに接続してパスワードを入力すれば、すぐにモニタリングが可能になります。
受信機を使用している場合はスマホ・タブレットが2台まで、受信機を使用せずスマホタブレットのみの場合は4台まで使用が可能です。

おおむねメリットしかないように思いますが、接続時に少し時間がかかることがあります。
電源を入れるだけで自動的にペアリングしてくれるのですが、エラーが起きなくても起動してから1分くらい接続に時間がかかります。
この無線装置は5GHz帯の電波を使用していて、気象・航空レーダー波と干渉して影響を与えてしまう可能性があるので、接続する前にレーダー波と干渉しない使用できるチャンネルを調べているのです。
電源を入れてもすぐに繋がらないのは、性能が悪いのではなく、干渉しない周波数に切り替えるプロセスなので「遅っせーなー」と思わず、プロドライバーが行っている出発前の指差し確認くらいに思ってください。

今回は『Hollyland MARS 400S PRO』を紹介しました。
これからも、よりよい撮影環境作りを目指していきたいと思います。
ムービーインパクト技術部でした。

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