【eスポーツ知らない人必読】2020年注目の広告媒体はeスポーツだ!

2020.02.20

市原 悠

ゲームセンター

モバイルインターネットがついに5Gの時代を迎え、東京オリンピックというビッグイベントも重なる2020年。

タイトルのとおり、今後ますます規模を拡大していくであろうeスポーツ市場について、データと私見を交えながらまとめ、eスポーツとはなんぞ?な方から、eスポーツを広告やイベントに活用したい!と考えている方まで、一緒に理解を深めて頂けますと幸いです。

eスポーツ

■そもそもeスポーツって?

eスポーツとは、「electronic sports」の略称で、コンピューターやビデオゲーム機器を用いて、特定のゲーム内で、プレーヤー同士がそのゲームのルールの中で競い合うスポーツのことを言います。

要は同じゲームでプレーヤー同士が戦うってことですね。

eスポーツは、英語圏ではEsports、eSports、e-sportsなどのスペルが混在していましたが、2017年にAmerican Copy Editors Societyというなんともアメリカンな団体により、正式スペルを「esports」と決定したそうです。
日本では未だにeスポーツ、イースポーツ、Eスポーツなど、表記が正式に定まっているわけではありませんが、各種新聞やメディアはほとんど

「eスポーツ」

という名称を用いているようです。このブログでも今回はeスポーツと書かせていただきます。

■ゲームがスポーツになる!?

昔は高橋名人のような「ゲームの達人」や「ゲーマー」と呼ばれた人々は、今は「eスポーツプレーヤー」「プロeスポーツプレーヤー」と呼ばれます。(ズボンをパンツって言うだけとは訳が違います)

ゲームをする人がスポーツマン?というような疑問を持つ方もいるかも知れませんが、スポーツの歴史を考えてみてください。
人類のスポーツの歴史は、徒競走のように「身体を使うだけ」から発達し、その後例えば剣を振りかざして戦う闘技や、剣道、弓を使う弓道というように「道具を使う」ことをスポーツとして取り入れてきました。

更に乗馬といった「動物」をはじめ、科学の発展により、自転車、自動車、飛行機、あるいは射的の銃器など、「工業製品」をスポーツに取り入れその概念を拡張していきます。
そうした、スポーツという定義の広がりとともにeスポーツも、

・プレーヤーの操作技術と知能に依存して←ココ重要

・電子空間上でプレーヤーを操り

・勝敗を決める

という点において、スポーツとして認知されていいのではないでしょうか。

スマホゲーム

もちろんそれが実現した背景には、デジタルデバイスの処理速度の向上と、通信速度の向上があったことは間違いありません。

とはいえeスポーツ市場が昔からなかったわけではなく、有名なところではインベーダーゲーム、ストリートファイターやぷよぷよといったメジャーゲームは、公式、非公式に関わらず大会やイベントが行われていました。(当時はeスポーツとは呼んでいませんが)

ただインターネットや情報通信技術が未発達であった時代では、そういったゲーム、あるいはゲームイベント自体が「クローズド」なものでした。(雑誌のファミ通や電撃プレイステーションなんかにイベントレポートなどが載っていて、「日本一のぷよぷよ上手い人ってこんな人なんだ!」とか心の中でワクワクしながら読んだ田舎の中学生が私です笑)
クローズドというのは、その場にいる人々だけが楽しめるような空間です。

それが情報通信と情報処理技術の向上によって、世界中のプレーヤーがインターネットで繋がり、ゲームの処理速度の向上でプレーヤーの意志が確かな精度で反映され、且つその様子をどこからでも観戦できるという時代に突入したのです。

ゲームセンター

さらにゲームがスポーツ性を獲得したのは、ゲーム世代が大人になったことも関係あるでしょう。
ファミコンやアーケードゲーム(いわゆるゲーセンなどのゲーム)が出だしたころはゲームに対する認識が「ただの遊び」でした。
ゲームに触れない大人は、子どもに害を与える、目が悪くなる、など悪い印象しかない人もいたでしょうし、新進気鋭の遊びに拒否感もあったかと思います。

しかし現在、その頃子どもだった世代が大人になり、親になり、経済の中心に変わり、むしろ大人が中心となってゲーム業界を牽引しています。
このようなゲーム世代が世の中的に「一般化」したことで、違和感なくスポーツと結びついているとも考えられます。

こうして一般的なスポーツと同じように、大きな会場で人を呼び、モノを呼び、そしてパブリック化、収益化し、成熟するに至るに、近年まで時を待たなければならなかった。
そしてその時がいよいよここ数年で来た、というのがeスポーツの大きな流れです。

■eスポーツの大会とは!?

eスポーツ大会

スポーツと言うからにはもちろん大会が開かれます。大会はオンラインとオフラインのものがあります。
オンラインというのは、プレーヤー同士が一箇所に集まるのではなく、世界各地に居たまま対戦する形式です。インターネットのオンライン上でつながって行うということですね。
なので、この場合リアルな会場は必要ありません。

一方オフラインは、大会会場に選手が集まり、運営側で用意されたコンピューターや通信環境の中で、対戦します。こちらが本来のスポーツ大会の感覚ですね。
オフラインとはいえ、通信自体は視聴者や世界と繋がっておりYouTubeやtwichといった動画配信メディアの配信番組を通じて観戦することができます。

eスポーツは電子空間上で対戦する、という条件があるので、通信環境やPCやスマホといった機器によって、遅延や切断が発生する可能性が否めません。
なので公式大会や大きな賞金の大会では、なるべく同じ環境で戦うことのできるオフラインイベントが多いのです。

現在の日本では、eスポーツ用のスタジアムというものは存在しておらず、たとえば放送スタジオの一角を使用したり、ホテルのホールなどを使用したりして運営されています。
eスポーツの開催には、安定した通信環境の整備と、ゲームの使用に耐えうるハイスペックなPC。
さらにゲーム上で行われる展開を観客に見せるモニター、中継・配信設備、撮影機材、照明設備、選手控室、一定数の観客席などが必要です。

eスポーツ 観客

もちろん、秋葉原のeスポーツスクエアのようにeスポーツ専用の会場はありますが、収容人数や演出といった部分では大きな大会は開催しづらい状況です。

しかしアメリカでは、すでに行政が主体となってeスポーツ専用スタジアムが作られています。この辺は流石アメリカといったところでしょう。
↓この映像はリーグ・オブ・レジェンドの世界大会決勝です…え?もはやサッカーワールドカップやん…

■eスポーツの収益構造

さて、そもそもじゃeスポーツってどこからお金が出て、どんな流れなの?と思っている方も多いでしょう。
一概には言えないのですが、一番オーソドックスと思われる流れを解説したいと思います。

まず公式イベント(試合)の母体は、殆どの場合、eスポーツで対戦するゲームを開発した「ゲーム開発会社」となります。(そもそもゲームの著作権を持っていますからね。)

昨今のゲーム開発会社はゲームソフト本体の売上だけで儲けていた時代と違い、ゲーム自体は無料で配信し、ゲーム内の課金アイテム等によって収益を得ています。もちろんソフトの売上もありますが、ソフトだけでは売り切りとなってしまうので、自転車操業的な循環になっていました。

そのような状況から、コンピューターやスマホ環境の変化に合わせ、追加でゲーム内でのアイテムや装備品などをアプリ内で購入し、いわゆる課金できるシステムを活用し、収益を上げるようになったのです。

少し話がそれましたが、イベントの資金の大元はゲーム開発会社が負担し、優勝賞金などを出しています。そこにスポンサーとなる企業を誘致し、更に広告やユーザーからの寄付金を入れることで、賞金や大会規模が膨らむ構造です。

ところが、一部ゲーム会社では大会そのものをフランチャイズ化し、各チームから高額のフランチャイズ料をとったり、試合の放映権をメディアに販売することで利益を上げている、いわばアメリカ大リーグと同じような流れを作り出しているところもあります。

eスポーツの大会の優勝賞金は今や数億に達し、2019年のフォートナイトの世界大会では3億の賞金が、Dota2では11億もの賞金が渡されています。

eスポーツ 優勝者
※こちらの選手はフォートナイトのソロ大会で世界一位となって約3億3000万円手に入れました

こんな巨額の賞金を支払って大丈夫なのかとも思いませんか?

しかしゲーム開発会社はイベントを行うことでユーザーの裾野を広げて自分たちのゲーム人口を増やしたり、プレーヤーのモチベーションを上げることで更に収益につなげることができます。

なので、大会自体が黒字化するかどうかが大きな問題になるわけではありません…でしたが、先のフランチャイズと放映権の販売、スポンサー料などによりかなり収益を上げているゲーム会社もあるようです。

更にイベント運営会社も出資しているので、メディアの権利、スポンサーや観客動員、グッズ販売などによってさらなる収益化を望めるようになってきています。

■eスポーツの拡がり

2017年には650億だった市場規模(世界)は、2019年には1100億円となり、2022年には1800億になると推測されています。
ちなみに2018年の動画広告市場が1800億円とされていたましたね。

スポンサーも従来はゲーミングPCやゲーミングチェア、ゲーミングマウスなど(ゲーム専用の機器に対し「ゲーミング」をつけます)ゲーム用品の関連企業が中心でしたが、一昨年あたりから一般企業の参入がみられます。

例えば世界的人気ゲームの「リーグ・オブ・レジェンド」の世界大会のメインスポンサーは2018年よりMastercardがつとめています。他にも男性向けフレグランスブランドであるAXE、更にはルイ・ヴィトンもパートナーとなっています!

6000万本以上売り上げているゲーム「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」通称PUBGの日本大会では、PC機器関連のAMDやlogicoolを始め、ZOZOTOWN、サッポロビール、ガストといった企業がスポンサーになっています。

大会だけではなく、そこに出場するプロeスポーツチームや個人の選手にもスポンサーがついています。
例えば国内トップレベルのDetonatioN Gamingにはエディオン、au、UCC、SHARPといった企業がスポンサーとしてついています。
日本でも国体でeスポーツの選手権が行われるなど、表面化してきています。(内容はこちらの記事に詳しく書かれておりますhttps://www.e-xtreme.co.jp/topics/7403/

YouTuberも、近年はゲーム実況系(自身のゲームプレイを見せたり、解説したりするジャンル)もかなりの人気があり、日本でも数十万人以上の登録者を要するYouTuberがガンガン増えています。
本田翼さんがゲーム実況のYouTubeチャンネルを解説したり、小島瑠璃子さんやGacktさんはPUBGのオフィシャルチャンネルでコラボをするなど、ゲームそのものの価値観や認知が、更にマスに向かって広がっています。

■これからのeスポーツと広告

どんどん拡がりを見せるeスポーツですが、やはり課題も見えてきます。
それはそのゲームを知らないと楽しめない、が一番大きな障壁でしょう。

eスポーツと大きく括っていても実はそれぞれがルールや性質が全く違う「ゲーム」だからです。かなり戦略的なものも多く、何をしたら負けか、何がすごいのかが体感的にわかりにくかったりします。

オリンピックや国体でもそうですが、どのゲームを扱うかも非常に重要な問題となってくるでしょう。あくまで私企業が作り出したモノを公に扱う際に、どのような基準で選ぶかは議論の的になりそうです。

日本では、先程述べた大会運営や、スタジアムといった施設の問題もあります。しかし、この状況は経済活動を模索する行政にとってはチャンスになるかもしれません。
スポーツ人口や、子どもの数が頭打ちになりつつある現在で、大人にも子供にも人気なのはやはりゲームです。

eスポーツのインフラを整備した施設を作れば、大きな大会で数百人規模の選手とスタッフや関係者が訪れ、観客も来ます。
宿泊から交通まで考えるとそれなりの経済効果をもたらす可能性は大いにあるかもしれません。

ゲーム内の広告やスポンサードによっても宣伝できるチャンスも、可能性としては全然あります。
例えばパズドラは前々から様々なアニメとコラボしていますし、荒野行動がエヴァンゲリオンや銀魂と、PUBGは世界的なEDMアーティストのアラン・ウォーカーとコラボするなど、ジャンルを超えてコラボレーションしています。

eスポーツ 中継
リーグ・オブ・レジェンドの世界大会

一昔前に流行ったセカンドライフのように、ゲーム世界内に看板を埋め込んだり、そういったいわばネイティブアド的な広告など、様々な可能性が、広がっていく気もします。

大会に関してもオンラインの中継で数万~数十万人が視聴するゲームもありますし、視聴ターゲットが見えやすいので、ペルソナなども考えやすいでしょう。

eスポーツを描いたドラマや映画もそろそろ出てくるんじゃないかな…

さて、私の私見もありつつですがeスポーツの概要がおわかり頂けたでしょうか?
私もゲーミングバッグのCMディレクターをやらせていただいたりと、仕事にもその影響が届いています。

これからもどんどんeスポーツは盛り上がると思いますので、更に多くの人に関心を持っていただければ幸いです。

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